あらすじ
大学受験の前日、片山美央が叔父である神崎凛太朗に抱いていた恋心をつづった日記が露呈し、少女の秘めた想いは公の場で糾弾された。
彼女は受験を断念させられて海外へ追放され、以来「恥知らずで倫理に反する人間」というレッテルを貼られてしまう。
その後、長い年月をかけてどれほど努力しても、偏見という巨大な山を動かすことはできなかった。
世界的な名門大学で学び、新鋭の医薬学者になってもなお、彼女は公務員試験を受けるよう強要された。
そんな折、隠し子騒動が巻き起こる。神崎凛太朗は一族の誉れと自身の前途を守るため、名門の御曹司である藤原蒼真と結婚するよう美央に迫った。
「藤原はお前など眼中にない。彼が偽装結婚に同意したのは家族を納得させるためだ。騒ぎが収まれば離婚すればいい」
そう言い放つ凛太朗に対し、美央の心は完全に冷え切り、彼への恩義もすべて消え失せた。
役所にて。悪名高い藤原蒼真は、美央に婚前健診の報告書を差し出して言った。「健康状態は良好だ。結婚後は夫婦生活を送ることができる」
美央は少し考え、「いいわ。あなたはハンサムだから、私にとっても損はない」と答えた。
美央は蒼真に意識されていないと思っていたが、結婚後の彼は、少し目が合うだけで理性を失うほどだった。正妻としての地位を与えられながらも、甘く情熱的な寵愛を受け、彼女は赤子のようにとろけるほど甘やかされていく。
やがて、美央が妊娠したという知らせがSNSで共有された。
神崎凛太朗はスピーチの原稿を放り出して会場を後にし、大雨の中を美央のもとへ走った。
全身ずぶ濡れになりながら、彼は震える声で言った。「美央、離婚してくれ。家へ迎えに来た」
かつて少女が抱いていた好意を一蹴した彼だったが、再びそれを求めたときには、彼女はすでにその想いを取り下げていた。
ドアを隔てた向こう側で、美央は藤原蒼真に細い腰を抱き寄せられ、息が詰まるほどの口づけを受けていた。
彼は大きな手で彼女の腹部を撫でながら、かすれた声で誘うように囁く。「いい子だ、声を出して、あいつに聞かせてやれ」 彼女は彼があらゆる手段を尽くして手に入れた宝物。 それを奪い取ろうなど、夢のまた夢である。
章一覧
全117章
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