あらすじ
娘を学校へ送る途中、彼女は夫の仇敵による無差別射撃に遭遇した。
夫自らが手配したはずの女ボディーガードは、あろうことか銃声が響いた瞬間、車を捨てて逃亡してしまったのだ!
母娘ともに数発の銃弾を浴び、命の危険にさらされる。
彼女は半狂乱で夫に電話をかけ続けたが、夫が出ることはなかった。
駆けつけた彼女の兄が、重傷を負った二人を救い出す。
「なんてことだ! あいつがお前たちの護衛をつけていたはずだろう!?」
彼女は涙で声にならない。
「あいつは……逃げたのよ!」
病院へ向かう道中、諦めきれない彼女は夫の番号を鳴らし続けた。
一回、二回……
九十九回目でついに繋がった電話。だが、そこから聞こえてきたのは、あの女ボディーガードの怯えきった泣き声だった。
「あなた、本当なの、私は悪くないのよ!
あんなに殺し屋がいたんだもの、飛び出していったら私まで殺されていたわ!怖かった……」
彼女は息を潜め、夫の激しい怒号を待った。
だが、夫はただ、短く溜息をついただけだった。
「いいさ。君が無事ならそれで」
その言葉と同時に、腕の中の娘が息を引き取った。
あまりの激痛に、呼吸さえ止まりそうになる。
冷たく硬直していく娘を抱きしめ、彼女は歯噛みしながら言い放った。
「お兄様、離婚させて!
全港最大の武器商人の名において、マフィアである夫の一族への武器供給を、すべて断ってやるわ!」
章一覧
全23章
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