あらすじ
婚約儀式、開始10分前。婚約者は消えた。 残されたのは、一通の通知。「彼女の持病が悪化した。そばにいてやりたい。 今日の式は、兄に代役を頼んだ。所詮、ただの形式だろう」 純白のドレスを纏い、私はスマートフォンの画面を凝視する。トレンドを埋め尽くすのは、彼と「愛人」が病室で抱き合う睦まじい姿。指先が掌に食い込み、鋭い痛みが走る。 だが、涙も、喚き散らす醜態も、今の私には不要だ。 扉が開き、一人の男が現れる。黒のスーツに身を包んだ、長身の影。眼眸の奥には、濁った暗流が渦巻いている。
手段を選ばぬ冷酷な支配者。私は顔を上げ、この「兄」に微笑みかけた。「ねえ、私を娶る勇気はある?」 男の瞳が、獲物を狙う狼のごとく鋭く光る。「自ら望んだんだ。後悔はさせないぞ」
章一覧
全23章
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