あらすじ
夫が上場企業の会長に就任したその日、彼は私に離婚を突きつけた。
独占インタビューに応じた夫は、こう語っている。彼が今の成功を手にできたのは、ひとえに見捨てずに支え続けてくれた「最愛の人」のおかげだと。
彼が口にした「最愛の人」とは、私ではない。不治の病に侵された彼の同僚であり、不倫相手の彼女のことだった。
彼女の病を治すため、夫は巨額の報酬を提示して、世間から姿を消したある「伝説の医師」に執刀を依頼した。だが彼は夢にも思っていない。彼が必死に懇願したその神の手を持つ医師の正体が、他ならぬ私だということを。
彼はある大手財閥グループの支援を取り付けたと信じ込んでいたようだが、その一ヶ月後、私はその財閥医療部門の特別招聘専門家として、華々しく表舞台に立ちインタビューを受けていた。
ある記者が私に問いかける。「ドクター、長年医療界を離れ、隠遁されていたと伺っています。今回、再び医療チームに復帰されたきっかけは何だったのでしょうか?」
私は、驚愕に顔を歪める夫へと視線を向けた。
「それは、私の夫が大金を積んで私を雇ったからです。……彼自身の愛人の手術をさせるために」
章一覧
全22章
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