あらすじ
路傍で拾われた私。彼への愛に狂い、骨の髄まで執着していることは、周知の事実だった。
彼の「最愛の女」が傷つけば、意識が飛ぶまで血を捧げた。
彼らが情事に耽るなら、避妊具さえ差し出した。
あの女の帰国日。雪原。薄衣。三時間の放置。凍えついた私は、昏睡の闇へ堕ちた。
覚醒。消失した記憶。病室に佇む冷酷な男を見ても、脳裏は空白のまま。
「あなたは、誰?」
氷の表情が一瞬で崩れ去る。彼は慈愛を装い、私の頭を撫でた。「俺は、お前の兄だよ」
あろうことか、彼は私の「宿敵」を呼び出し、婚約者だと偽った。
その後――彼の筋書き通り宿敵へ嫁いだ私を見て、発狂したのは彼の方だった。
章一覧
全14章
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