あらすじ
十一回目の流産。それでも彼女は諦めなかった。病室に横たわり、身体中に針を打ち込み、ただ一筋の希望である「特効薬」を待ち続けていた。
だが、八年愛した夫がその薬を捧げたのは、身籠ったばかりの飼い犬だった。
頬の涙を拭い、彼女は決断する。千辛万苦の末に宿した命を、自らの手で断ち切ることを。
心変わりした男など、もういらない。だが、真心を蹂躙した報いは、必ず受けさせる。
埃を被った携帯電話を取り出し、唯一の連絡先へ指をかける。
「私を娘と認めさせたいのでしょう? 一週間後、迎えに来て。あなたの椅子を継いであげる」
彼女が去った後、男が神仏に跪き、血を吐く思いで再会を乞うことになるとも知らずに。
章一覧
全19章
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