あらすじ
黒田美月が富岡宗一郎と出会ったとき、彼は彼女の援助者だった。端正な顔立ちに、気品と冷ややかさを漂わせる男。人付き合いを避け、心を閉ざしていた美月は、彼に深く恋をした。
だが、美月がすっかり心を奪われた頃、宗一郎は何の前触れもなく別れを告げ、彼女を置いて港城へ帰ってしまう。
後を追った美月が目にしたのは、美しい婚約者を伴う彼の姿だった。
三年後。死を偽り、姿も名前も変えた美月には、自分を愛してくれる恋人がいた。ところが、ふとした出来事をきっかけに、小さな女の子に脚へ抱きつかれ、「ママ」と呼ばれてしまう。顔を上げると、その子の後ろにいたのは宗一郎だった。
「富岡さん」美月は静かにそう呼びかけた。
三年ぶりに会った宗一郎は、今や高い地位と権力を手にし、彼女とは住む世界が違っていた。
もう関わることはない。そう思っていたのに、ほどなくして宗一郎自ら、美月と恋人の仲を壊してしまう。
彼のもとへ乗り込んだ美月が見たのは、かつての自分の写真を手にした男の姿だった。いつも感情を抑え、冷静だった彼は、煙草に火をつけ、目を赤くして彼女を見た。
「十億出す。美月、あいつと別れて、俺とやり直してくれ」
……
若き御曹司、富岡宗一郎の心には、忘れられない女性がいる。その女性が若くして不慮の死を遂げたことは、彼の周囲では誰もが知っていた。
宗一郎は彼女を失って正気を失うほど悲しみ、ビルを一棟建て、彼女にまつわるあらゆるものを大切に保管していた。
誰もが、彼は生涯その女性だけを想って生きるのだと信じていた。
ところがある日、集まりの席で、宗一郎がある女性に声を落とし、優しくなだめる姿が目撃される。その目には、愛おしさと執着のにじむ笑みが浮かんでいた。
彼は身をかがめ、自ら女性に靴を履かせてやっていた……。
その女性は、若くして亡くなった彼の想い人に、七割ほど似ていた。
章一覧
全31章
/0/26658/coverbig.jpg)
/0/21195/coverbig.jpg)
/0/21921/coverbig.jpg)
/0/22478/coverbig.jpg)
/0/20686/coverbig.jpg)
/0/24825/coverbig.jpg)
/0/2729/coverbig.jpg)
/0/27221/coverbig.jpg)
/0/27166/coverbig.jpg)
/0/27154/coverbig.jpg)
/0/27104/coverbig.jpg)
/0/27150/coverbig.jpg)
/0/27134/coverbig.jpg)