あらすじ
流産の手術を終えたばかりの私は、一人、冷たい病室のベッドに横たわっていた。
ふと見上げたテレビの画面には、私の夫である九条グループ社長が、人気女優を庇いながら別の産婦人科から出てくる姿が映し出されていた。
彼からかかってきた電話は、私への心配など微塵もなく、ただ冷酷な命令を告げるだけだった。
「半時間以内に病院の下に来い」
這うようにして向かった九条家で、義母と義妹は私を蔑み、言葉の刃を突き立てた。
「三年経っても世継ぎ一人産めない塩漬けの土地のようだな」
夫は私を庇うどころか、その女優からの「お腹が痛い」という電話一つで血相を変えた。
そして、高熱で苦しむ術後の私を、暴雨の降る夜の山道に平然と置き去りにしたのだ。
彼は知らない。五年前、命がけで彼を火事から救い出した本当の恩人は、あの女ではなく、この私だということを。
恩を仇で返し、私をゴミのように扱い続けた彼らへの絶望が、私の心を黒く塗り潰していく。
冷たい泥水の中で、私の中で何かが完全に死んだ。
私は離婚届にサインをし、かつての惨めな自分を捨て去るように、真っ赤なルージュを引いた。
もう誰にも媚びない。私を虐げた者たちへの反撃と、亡き兄の死の真相を暴くための戦いが、今始まる。
章一覧
全200章
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