あらすじ
高遠湊を諦めてから、十八日。
有栖川詩織は、腰まであった長い髪をばっさりと切った。
そして父に電話をかけ、福岡へ行き、慶應大学に通う決意を告げた。
電話の向こうで驚いた父は、どうして急に心変わりしたんだと尋ねてきた。
お前はいつも、湊くんと一緒にいたいと言って、横浜を離れようとしなかったじゃないか、と。
詩織は無理に笑ってみせた。
胸が張り裂けるような、残酷な真実を打ち明ける。
湊が、結婚するのだと。
だからもう、血の繋がらない妹である自分が、彼にまとわりついていてはいけないのだと。
その夜、詩織は湊に大学の合格通知を見せようとした。
けれど、彼の婚約者である白石英梨からの弾むような電話がそれを遮った。
英梨に愛を囁く湊の優しい声が、詩織の心を締め付けた。
かつて、その優しさは自分だけのものだったのに。
彼が自分を守ってくれたこと、日記やラブレターに想いのすべてをぶつけたこと、そして、それを読んだ彼が激昂し、「俺はお前の兄だぞ!」と叫びながら手紙をビリビリに破り捨てた日のことを、詩織は思い出していた。
彼は嵐のように家を飛び出し、詩織は一人、粉々になった手紙の破片を painstakingにテープで貼り合わせた。
それでも、彼女の恋心は消えなかった。
彼が英梨を家に連れてきて、「義姉さん、と呼べ」と命じたときでさえ。
でも、今はもうわかった。
この燃え盛る想いは、自分で消さなければならない。
自分の心から、高遠湊という存在を、抉り出さなければならないのだ。
章一覧
全27章
/0/19683/coverbig.jpg)
/0/19244/coverbig.jpg)
/0/24817/coverbig.jpg)
/0/19246/coverbig.jpg)
/0/4182/coverbig.jpg)
/0/20207/coverbig.jpg)
/0/24259/coverbig.jpg)
/0/27221/coverbig.jpg)
/0/27166/coverbig.jpg)
/0/27154/coverbig.jpg)
/0/27104/coverbig.jpg)
/0/27150/coverbig.jpg)
/0/27134/coverbig.jpg)