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第2章 妊婦が大量出血

七ヶ月前の夜。

誠十郎が突然、彼女を会食に連れ出した。結婚して三年、彼が百合花を外に連れ出したのは初めてで、彼女は夢でも見ているかのように有頂天になっていた。

しかし、不自然に酔い潰れ、目覚めた時、ホテルの冷たいベッドに全裸で横たわっていたのは彼女一人だった。誠十郎はすでに海外へ発っていた。

彼女はずっと、あの夜の相手が誠十郎だと固く信じていたのだ。

その時、親友の星野玲奈からメッセージが届いた。

【百合花、どういうこと!?旦那さん、あなたのお姉さんと一緒にいるよ!】

添付された写真には、黒のコートを着た誠十郎が、ピンクのドレスを着た小さな女の子を愛おしそうに抱き、サングラスの女と手を繋いでいる姿が写っていた。

女の横顔は、間違いなく血の繋がらない姉の梶原愛莉だった。

太ももを温かい液体が伝い落ち、下腹部が引き裂かれるように痛んだ。

結婚して三年なのに、姉と夫の子供はもう三歳。自分の六年の片思いと三年の結婚生活は、ただの惨めな笑い話だったのだ。

百合花は自嘲気味な笑みを浮かべた。彼がそこまでして自分を裏切るなら、望み通りにしてやる。

彼女は診察室に戻り、感情を殺した震える声で言った。

「夫は浮気しています。同意書は私が自分でサインします」

カルテを書いていた白川の手が止まり、赤く血走った百合花の瞳を驚きと共に見た。

次の瞬間、百合花の身体が糸が切れた操り人形のように崩れ落ちた。

白川は瞬時に彼女を抱き上げた。鮮血が白衣を赤く染めたが、彼は構わず救急室へ駆け出した。

「妊婦が大量出血!すぐに緊急手術の準備を!」

――海外。

誠十郎は結愛からスマホを受け取り、着信履歴の「百合花」の文字を見て忌々しげに舌打ちをした。

背後から愛莉が優しく抱きついてきた。

「誠十郎さん、百合花ちゃんのところに戻ってあげて。自分のお腹の子があなたの子じゃないと知ったら……彼女も孤児院から引き取られた身だし、可哀想よ」

「自業自得だ」誠十郎は冷笑した。「本来君が座るべきだった長谷部夫人の座から引きずり下ろし、一文無しで追い出してやる。君がかつて味わった苦しみを、あいつにも味わせてやる」

「パパとママ、一緒にいてほしいな〜」結愛の甘え声に、誠十郎の冷酷な心は一瞬でとろけた。

続きを読みますか?

読み進めると物語が続きます。

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章一覧

全20章

  1. 第1章第1章 The child is not his
  2. 第2章第2章 妊婦が大量出血
  3. 第3章第3章 Seven months ago

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