あらすじ
婚約者の休むVIPルームの扉の前で、私は立ち尽くしていた。
重厚な扉の隙間から聞こえてきたのは、彼と私のいとこが交わす甘い声と、生々しい水音だった。
「あれは、家のためのただの飾りだ」
私を嘲笑う婚約者の一言が、私の心を完全に殺した。
絶望して逃げ出した廊下で、彼のビジネスパートナーであり、絶対的な権力を持つ中沢財閥の御曹司・翔馬に捕まった。
「裏切り者に復讐する、一番いい方法は知ってるか?奴より先に堕ちることだ」
私は彼の覇道的な誘惑に抗えず、そのまま一夜を共にしてしまった。
後日、婚約者は浮気を悪びれるどころか、没落しかけた私の実家を盾に脅し、さらには私に下着を着けずにヨットパーティーへ参加するよう強要した。
パーティーの甲板で、婚約者は私を放置し、権力者たちへの挨拶に夢中になっていた。
そこへ翔馬が現れ、私の耳元で囁いた。
「今日、下着を着けていないだろう?」
婚約者が笑顔で近づいてくる中、翔馬の指は死角で私の肌を撫でていた。
婚約者は翔馬に媚びへつらい、私たちの異常な距離感に全く気づいていない。
それどころか、翔馬の「鷹司お嬢様の『味』は格別でしょうな」という侮辱的な言葉に、得意げに笑って答えたのだ。
その愚かな顔を見た瞬間、私の中で張り詰めていた糸が完全に切れた。
なぜ、私だけがこんな屈辱を味わわなければならないのか。
このまま泣き寝入りなど絶対にしない。
私は翔馬の黒い瞳を見つめ返し、この悪魔を利用して彼らを地獄へ引きずり落とす決意を固めた。
章一覧
全70章
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