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チャプター 2 6兆円

「は?」

北川剛直は眉をひそめた。彼女自ら離婚を切り出すとはーー昨晩薬を盛られたばっかなのに、朝から一体何の冗談だ。

「頭おかしくになったか?」

大西結月は冷たい視線を投げつけた。小柄な体ながら、今この瞬間だ、そのオーラは北川剛直にも負けない。

「あなたもずっと離婚したかってるんでしょ?そもそも、あの時は爺様に無理やり私を娶ったのだから。今や爺様も亡くなった…呉宮京子を正妻に迎える邪魔をする者なんて、もういないわ。」

北川剛直は唇を引き締め、彼女をじっと見つめた。

こいつ、本気で言ってるのか

その真剣な目、嘘には見えない「後悔…するなよ。」

大西結月の心は一つたりとも迷わなかった。

「唯一の後悔は、あなたと結婚したことだわ」

言葉を残し、彼女は振り返って出て行った。その背後は決然として、優雅だった。

北川剛直はその姿を、消え入るまで見ていた。

かつてずっと優しく可愛げそうだった彼女が、これほど強気になるとは…

昨晩のことは本当に誤解だったのか

だが彼女でないとすれば、一体誰が。

……

二人は前後して午前中に市役所に向かった。

彼女のボロボロな服と彼のプラダオンカスタムスーツがそろい立ちし、周囲の異様の目を引きついた。

大西結月はただ早く終わらせることだけを考えていた。

わずか10分、この婚姻は終わりを告げた。

離婚証明の色が目に焼きつき、大西結月は一瞬だけ思考が止まった。

「これからは、お前一人だ 」

冷たい声が残る中、再び顔を上げた時には、彼の姿は既に消えていた。何の言葉も、感情も残さず、まるで何もかもなかったように…

「これでもいいんだ 」

彼女は嘲笑うように頭を振った

そんなに無情なんて、もう今後他人でしかない

彼女は思考を切り替え、道路脇へ歩み出した。

突然、黒の限定ロングベントレーリムジンが目の前に停まった。

車のドアが開き、白髪混じりの中年男性が四人のボディーガードに囲まれ、彼女に向ってきた。

「父さん、本当に手腕が広んだから。今離婚したばかりでしょう?」 突然、彼女は人が変わったかのように。その身にはまるで生まれつきな高貴を振るわい、顎をひとかけら上げる。

比江森はへつらうような笑みを浮かべ、深々と頭を下げて言った。 「お嬢様、明田様との三年の約束が満了しました…」

一瞬間を置き、彼女の手の離婚証明をさらっとみて、わざと残念そうに言った。

「どうやら、北川様の心を掴めなかったようですね。約束通り、S市へ戻り家業を継がれますようお願いします。」

大西結月は眉をひそめ、長い沈黙を置いた。

15歳の時、彼女は謀られ記憶を失い、方城の孤児院に流れ着いた。 その後、偶然北川家の爺様を助けた縁で屋敷に引き取られ、成人した際に北川剛直と結婚させられた。

新婚初夜、偶然記憶が戻ったが、その時彼女の目には北川剛直のことしかない。比江森との帰還を拒んで父と三年の約束を交わした。

今思えば、愛しない男に捧げた三年は全くの無駄だった。

「明田様はお嬢様を本当にお会いしたがってます、どうか意地を張らないで私と帰りましょう」

「江森」

「あの女が父の元にいる限り、明田家に私なんかの邪魔者は要らない。まだ魚津で用事あるから、戻らないわ。」過去の話に触れ、彼女の表情はみるみる冷たく沈んでいった。

彼女は記憶喪失と方城追放の黒幕をこの2年密かに調べ、その人物が明田氏に潜伏している可能性をつかんでいた。でもそれが誰だか、まだ確定していない。

敵が暗がりに潜む今、明田家に帰るのは危険極まりない。

何より、あの女と顔を合わせる気など毛頭ない。 比江森はため息をついた。

比江森は息をついた。「明田様のご懸念通り、お嬢様はまだわだかまりをお持ちで…簡単にはお戻りにならないと」

彼は言いつつ、恭しくブラックカードを差し出した「これはお嬢様の口座であります。6兆円、一切手を付けておりませんので ご安心ください」

背後のボディーガードに合図すると、新しい契約書が即座に大西結月の手に渡された。

続きを読みますか?

読み進めると物語が続きます。

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章一覧

全84章

  1. 第1章チャプター 1 もう話さないで、離婚しよう
  2. 第2章チャプター 2 6兆円
  3. 第3章チャプター 3 これが実は、こっそり大金を稼ぐ手段だった?

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