あらすじ
商業界に君臨するあの男は、正真正銘の狂人だ。
百人の女性を別荘に軟禁し、まるでブラインドボックスを開けるかのように、くじ引きで妻を決めるというのだから。
誰もが当選を幸運だと信じているが、私だけが知っている。それが破滅への入り口であることを。
前世において、その当たりくじを引いたのは私だった。
死に戻った私は、この悪縁を回避しようと足掻いた。
だが運命の歯車は狂い、皮肉にもまたしても私は“選ばれた幸運児”となってしまう。
そして結婚式当日、歴史は繰り返された。
新郎は一本の電話を受けると、血相を変えて胸花をかなぐり捨てた。
「彼女が死ぬと言っている。今すぐ行かなければならない」──そう言い放ち、私を置き去りにしたのだ。
その時、本来なら彼女の婚約者であるはずのプリンスが、冷気を纏って式場に乗り込んできた。
彼は逃げた花嫁を追うどころか、私の目の前に立ちはだかり、品定めするように視線を這わせる。
「お前の旦那が、俺の嫁を奪って逃げたわけだ」。
男は私の顎を強引に掴むと、傲然と言い放った。
「夫の不始末は妻が償え。代わりにお前が俺の妻になるんだ。……公平な取引だろう?」
章一覧
全28章
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