あらすじ
パリのアパートで論文の進捗を確認していた私のスマホに、義妹の玲奈から一枚の写真が送られてきた。
そこには、ホテルのベッドで裸で絡み合う、私の婚約者と玲奈の姿が鮮明に写っていた。
カメラに向けられた玲奈の瞳には、私を見下すような挑発的な笑みが浮かんでいる。
「西園寺家を救ってやった恩を忘れるな」
長年、婚約者の佐藤家から投げつけられてきた侮蔑の言葉が脳内で不快に反響する。
没落した西園寺家にとって、私はただの都合のいい政略結婚の駒でしかなかった。
彼らの敷いたレールの上で、従順で物分かりのいい娘という仮面を被り続ける人生。
体内で燻っていた諦めや無力感は急速に燃え尽き、後には氷のように冷たい怒りだけが残った。
私は来月帰国する予定だったフライトをキャンセルし、最も早い東京行きのチケットを迷わず予約した。
そして、部屋の隅に大切に保管していた高価な婚約記念のドレスを、ゴミ箱に無造作に投げ捨てる。
ただ婚約を破棄するだけじゃない。最高の舞台で、佐藤家を完全に破滅させてやる。
章一覧
全100章
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