あらすじ
冷たい夜気を纏って帰宅した夫は、一枚の白い封筒をテーブルに滑らせた。
「離婚届だ。俺が愛しているのは由子さんだ」
夫は愛人の名を告げ、慰謝料一億円で妻の藤川凛紗を追い出そうとした。
愛人も同意しているから離婚後も会社に残れと、傲慢にも彼女を道具として縛り付けようとする。
義母は一円も渡さないと罵り、愛人は悲劇のヒロインを気取って凛紗を悪者に仕立て上げた。
彼らはネットで彼女を金の亡者だと非難し、街中で詐欺師扱いする罠まで仕掛けてきた。
浅沼家は、凛紗が金目当てで嫁いできた無力な女だと信じて疑わなかった。
しかし、彼らは知らなかった。
凛紗が浅沼グループの莫大な株式を保有する大株主であり、会社を陰で支えてきた真の功労者であることを。
無一文で泣き崩れると嘲笑う彼らを前に、凛紗の瞳に氷のような冷たい光が宿る。
「慰謝料は要りません。代わりに、私の株式を時価十五億円で買い取っていただきます」
凛紗は淀みなく離婚届にサインすると、ボストンバッグ一つで豪邸を後にした。
国内トップクラスの弁護士の手を取り、傲慢な一族への容赦ない反撃が今、始まる。
章一覧
全53章
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