あらすじ
夫の浮気相手の首元で光っていたのは、私が貸した亡き母の唯一の形見だった。
問い詰める私に、夫は面倒そうに吐き捨てた。
「たかがネックレスだろ。あいつには似合っていたんだ」
さらに、殉職した私の両親の遺骨を家に持ち帰ると、義母と義妹は「気味の悪い箱」「死人なんて縁起が悪い」と私を突き飛ばした。
夫は私を庇うどころか、「母さんを困らせるな、お前が謝れ」と私を責め立てた。
極めつけに、レストランで発砲事件に巻き込まれた際、夫は私を力任せに突き飛ばし、私を盾にして浮気相手を庇ったのだ。
結婚してからの三年間、「役立たず」「家柄の悪い女」と罵られながらも、いつか夫が理解してくれると耐え忍んできた私が馬鹿だった。
彼らは私を、学歴もなく夫に寄生するだけの無力な主婦だと信じ込み、徹底的に見下していた。
だが、彼らは知らない。
私が防衛大学校を首席で卒業し、伝説の特殊部隊「ハヤブサ」の最年少隊長を務め上げた人間であることを。
私はサイン済みの離婚届を突きつけ、三年間被っていた「無力な主婦」の仮面を脱ぎ捨てることにした。
章一覧
全60章
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